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5/27 写真家 西澤豊

彼はいま、世界的にみても最も貴重な写真家の一人だと思う。
著明か否かは、ボクにとってはどうでもいいこと。

彼のレンズに入るものは、すべて美しくなってしまう。
それがゴミでもだ。
現場に着くなり、なんの準備もないままにそのまま撮り出す。
そして、あっという間に終わる。

彼はいつも言う。
「いい時期とか、いいタイミングなんてない。
ましてや邪魔なものとか醜いものなんてない。
すべては必然で自然なこと。」
「写真家がじゃまだと思えばそう写る。
すべて美しいと思えば自ずと美しくなる。」
すべてが一期一会の必然を受け入れてシャッターを押す。
そこに自分を持ち出しても何も良いことがないのを知っているのだ。
ボクには到底到達出来ない世界だ。
でもこれは、求め続けている「禅」の世界そのままだ。

また、彼は以前、駆け出しのボクにこんなアドバイスもくれた。
「どんなもので飾ってもピラミッドはピラミッド。
使い方で存在感が揺らぐような建築は、初めから作らない方がいい。」
これがその後の建築を作る指針となった。

彼と知合って25年、いつか彼と作品集を作るのが夢だった。
彼の年齢を考えると、もうそれほど時間はないと思った。
おそらく今回が最初で最後になるだろう。

建築は、体験すること以外に感動は伝えられない。
写真では、建築の感動は伝えられない。
だから写真は、写真の感動があるべきだ。

「写真」のリアルティー。
「家族」のリアリティー。
そして、少しだけ「建築」を感じられたら価値のあることだと
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by unocolumn | 2009-07-27 13:22 | 写真集

5/26 撮影を終えて

撮影を始めた頃は、その作業の大変さにプレッシャーを感じていたのですが、28軒を撮り終えて、今は全く予想もしなかった感慨に浸っています。それはありきたりですが「感謝」という気持ちです。

 すべてのお施主さんに快く撮影のお許しをいただいたこと。お伺いした際も、いろんなお話が楽しく出来たこと。「私が今あるのはこの人たちのおかげだ。そして、今もこの人たちに支えられているんだ。」「お役に立てていたんだ。そして、これからもお役に立てるような人でいたい。」と心から思えたこと。私の未熟な設計のためにご迷惑をおかけしていることもあるでしょうが、これまで大きな問題もなくこれたことは、本当にお施主さんと職人に恵まれていたことを気づかされた撮影でした。

 これだけでも写真集を作ろうとした意味があったような気がしています。でも、これで守りに入らずに新たな挑戦へのステップにしたいと今は思っています。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:20 | 写真集

5/19 続・カタログハウス

カタログハウスを止めるだけでも充分に豊かな建築が作れます。デザインなんて全然全然必要ありません。そんなところにお金をかけるのだったら、設計士さんが智恵を絞って全部手作りで職人さんに愛情を込めて作ってもらった方が、よほど愛着の湧く豊かなものが作れます。1軒の家にたくさんの愛情が込められている方がいいに決まっています。少なくとも子供が育つ家だけは、そういうものでなくてはなりません。でも時々故障もします。家ってそういうものです。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:18 | 設計・施工

5/16 カタログハウス

私と同じ仕事をしている人たちにお伺いします。カタログを見ないで設計したことありますか。カタログ使いすぎてはいませんか。住宅がカタログに載っているものの組合せになっていませんか。
それらは、ほとんどが企業(株式会社)が作った大量生産の工業製品です。企業(株式会社)は誰のために「もの」を作っているか知っていますか。

 答えは”株主”です。金融ビッグバーン以降、志の高い株主は影を潜め、マネーゲームが株売買の主要な目的になってしまいました。必然的に企業は、志しを高く持ちにくくなり、利益をあげることがものづくりの目的になってしまいました。だから今あなた方が使おうとしている工業製品は、いま設計している住宅のためにあるのではないのです。洗濯機や冷蔵庫、掃除機に電子レンジ等々。これらの家電を見たって自己主張ばかりで周りとの調和を保とうなんてこれっぽっちもありません。みんな自分がのことしか考えていません。そんなものを並べて居心地の良い家なんか出来るはずがありません。住人は孤独になるばっかりです。我々はオーケストラの指揮者です。自分のことしか考えずに勝手に演奏するヤツを使ってはいけません。出来るだけ早くカタログハウスを卒業しましょう。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:16 | 設計・施工

5/10 奈良に行って

ここ数年、近代建築をあえて見に行くことはなくなった。
それはボクが建築を「ながく愛されているか」
そういう見方でしか見なくなったから。

いろいろな本を読み、
いろいろな人の話を聞き、
いろいろな建物を見てきた。
いろいろな人がいろいろな評価をして、
いろいろな理屈やいろいろな理論を述べる。

ボクにはそのほとんどが理解不可能だし、納得できない。
時代の流行、社会の風潮、どれもボクには大切に思えない。
だって五百年も愛されそうな近代建築なんて
サグラダ・ファミリア以外にありそうもないから。

五百年も千年も経った建ものの
前ではただ立ちすくむのみだった。
ボクは同じ「建築」という土俵の上で
仕事をしているのだろうか。
なぜかいたたまれなくなる。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:14 | 建築観

4/4 施工をするということ

私の仕事の特徴は、設計施工一貫方式ということです。以前は工務店に発注していた時期もありましたが、私にとっては主に以下の理由でとてもストレスの多い仕事でした。

 1、仕事に対する熱意の相違
 2、経済的、技術的な問題で工務店の意思が働いてしまう。
 3、施主と工務店の利益調整に限界を感じた。
 4、経験、技術、信頼感の問題で高い見積になってしまう。
 5、工務店の見積では、施工方法や実質的な
   工事原価が見えにくく施工全体を把握できない。
 6、職人との信頼関係が築きにくい。
 7、現場は建築家にとってのライブコンサート。最も楽しい場所。

 私の仕事は信頼関係で成り立っています。施主と家づくりの現場がシンプルな関係で繋がっていなければなりません。そこに不確定な部分や説明できない部分があることはとても危険なことです。それを解消するために工事を請け負い、私が直接職人に発注する形態をとりました。それによって私の意思がストレートに現場に繁栄し、施工原価も把握できるようになりました。もちろん現場管理費はいただきますが、その他は施工原価そのままで契約をするので信頼関係がより高まりました。そして何よりも設計監理だけをしていた時よりも仕事が楽しくなりました。気心の知れた職人たちと現場で意見を出し合いながら最善を尽くしていくことはとてもやりがいのあることです。そこにはもう工務店の意思は入りません。私の決断ひとつで良くも悪くも決まっていきます。責任は重いですが、そのライブ感はかけがえのないものです。

 今ではこの方式も確立し、求められるのは私の設計精度とその質です。工務店の意思を排除した今は、既製品や工業製品などの企業の意思を出来るかぎり排除することに務めています。サッシ、取手、建具金物、レバーハンドル、ポスト、インターホン、照明器具等々・・・

 ※ PS 今ひそかにテレビも企んでいます。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:11 | 設計・施工

4/3 計画書

今回は計画書について。
前回の予算書の数字をもとに作りました。

予算がある程度決まった段階で計画書を作ります。
おおよその仕事の流れと資金の計画が分かるようにしています。
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これをもとに簡単に仕事の流れを説明します。

少し不思議に思われたと思いますが、
設計監理契約後、即、実施設計開始となります。
それまでに基本設計を半年〜3年。
平均1年ほど行っています。
つまり基本設計は無料で行うということです。
施工まで責任を持って行う私にとって、
仕事を請けるということは大変な決断です。
一生のお付き合いになる訳で、
その決断はお互い慎重にしたいと思っています。
そのために基本設計の段階で納得が出来なかったり、
信頼関係が崩れるようなことがあれば、
お互い支障なく決断できる環境にしておくためです。

実施設計は、半年〜1年。
もちろん見積も私が行います。
その後、請負契約を弊事務所とします。
支払は出来高に応じて数回に分けてお支払いいただきます。
その後、中間、完了検査と進み、引渡しとなります。

私がこのようにコストプランニングと
コストマネージメントを大切にしている意味は、
完成度を上げるということの他に、
クライアントの不安感を少しでも取り除くためです。
私はいつも私が感じたクライアントの
ご家族のイメージを大切にして提案をしています。
だから毎回提案するものも違います。
設計の進め方も予算と機能(プラン)の確認に終始して、
その他のことはほぼ任せていただいています。
しかし、いくら信頼関係があるといえども、
一生の買い物に想像できないというのは大変不安なものです。
だから予算と機能、維持管理についての
情報は、可能な限り情報交換しています。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:07 | 設計・施工

3/28 コストプランニング

設計の進め方や考え方について今後数回に分けてお話します。
今回は予算書について。
参考のためにサンプルを作りました。

このサンプルは、土地の購入も含めて当初(基本設計1)は
6,000万円を想定して予算を組んだものです。
土地抜きであれば、「合計」の部分
(44,685,500円)が総工費に当たります。
つまり総工費4,500万円で計画したものになります。
打合せを進めていく中で、
やむなく納まりきれない部分があれば、
その都度基本設計2のように増額案を提示します。
これを2、3度繰り返し予算を決定すると
同時に建物の規模と概要を決めます。
このように予算を中心に規模と機能を
決めていくことが基本設計の進め方です。
a0125777_12592848.jpg

坪単価というのは、この表の最上部の
本体工事の金額を坪数で割った数字です。
だから3,000万円で30坪ならば100万円/坪ですが、
実際には総工費は4,800万円かかっている
ので坪160万円の家になります。
私の場合設計料が少し高いのでその分を差し引いても、
総工費として坪単価の1,5倍の
予算を見ておく必要があります。
よく総工費3,000万円あれば、
30坪で100万円/坪だから
充分だろうと思い来られる方がいますが、
実際に建物にかけられる予算は、
ぐっと少ないものなってしまいます。


私はこのコストプランニングを最も大切にしています。
どんなすばらしい設計をしても、
この精度が甘ければ施主の期待と信頼を失ってしまいます。
ただ、これにしたがって忠実に
設計していくことは大変難しいことです。

なぜならば、それは施工のすべてを把握できなければ
それにかかるコストも把握できないからです。
また、職人からの信頼が無ければ
正確な見積を出してくれないからです。
やり直しや変更を頻繁にさせる設計士
というレッテルがいったん付いてしまえば、
以後はそれを見込んだ見積りになってしまいます。
かつては私も失敗を繰り返し、さんざん
迷惑をかけましたが、今はすばらしい職人にも恵まれ、
ほぼ正確に設計を進めていくことが出来るようになりました。
それは同時に建物の完成度と施主の満足度の向上に繋がりました。

今は工務店の許可も取得し、自ら設計したものは
自ら作るという体制にして、その精度をより高めるために
日々研鑽を積んでいるという状況です。
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by unocolumn | 2009-07-27 13:04 | 設計・施工

3/20 完成

"Perfection (in design) is achieved not when there is nothing more to add,but rather when there is nothing more to take away."
「完成(デザイン上の)とは、付け加えるものが何もなくなったときではなく、むしろなにも取り去るものがなくなったときである。」             サン・テグジュペリ

彼は童話を書くこと以外に飛行機の設計家でもありまた。航空力学や重量、安全、スペースなどのぎりぎりの条件の中での飛行機の設計は、無駄なデザインなど入り込む余地のない究極の設計です。それに比べ建築はどうだろう。しかし、美しいものを作る何らかのヒントにはなるのではないだろうか。
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by unocolumn | 2009-07-27 12:56 | 本・言葉

2/23 永遠

私のものづくりはすべてにこの思いが強く込められている。
それがどこから生れ出てきているものなのか最近時々考える。

幼い頃から病弱だった母の生と死は、私の日常だった。
だから確かに「死」を強く意識する子供だった。

相次いで両親を亡くした20年前、
ほぼ3年間引きこもりになった。
家では禅の本を読み、
週に1、2度禅寺に通う日々だった。
その時に幼い頃からの漠然とした不安が、
「無常観」だったことを知った。

そして、それが変えがたいこの世の摂理であることも知った。 
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by unocolumn | 2009-07-27 12:50 | 建築観