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1/16 備忘録として

これはもう10年以上も前に藤本照信氏が何かの雑誌に投稿したコラムです。もう10年以上も机の前に貼っていて紙がぼろぼろになってきたのでここで備忘録とします。

「宇宙の意志」
「建築家は混沌たる宇宙の大本の中にその意志を感じ、そこに第二の自然を創造して人間に提供し、人間の住む適した世界を創造する使命を有するのです」ーこの言葉は,後藤慶二が大正5年に発したものである。(「過去とも将来ともつかぬ対話」から)。(中略)現在の日本の建築のデザインを考えると、やはり貴重な言葉だといっていいだろう。
 日本の若い世代のデザインに接して、私はいつも不満が残る。たしかに上手だし,センスもいいと思うのだが,なんかヒ弱というか核がないというか、見た後で、「で、それでどうした」と言いたくなってしまうのである。そんなセンスの良さだけが取りえのデザインしか生まれなくなったのにはいろいろな理由があると思うが,一番深刻な理由は、建築家を目指す者が、〈宇宙の意志〉を感じられないままデザインを始めてしまうからではないか。
 宇宙の意志のかわりに何を感じ取っているかというと、それはおそらく〈自分の意志〉に違いない。小さな自分の意思しか根拠がない状態が若い世代にまん延しているのである。若い世代だけではなく,大手の組織的な設計事務所にもこのことはあてはまり、こっちは〈組織の意志〉しか根拠がない。自分は小さいし,組織はむなしい。小さなもの,むなしいものからはしょせん見る人の心を奮わすような表現は生まれるはずもないだろう。小さな自分が、宇宙とか時代とかの自分よりはるかに大きいものの意志を感じ取った時、そこから建築が始まるのである。
 
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by unocolumn | 2010-01-16 17:27 | 建築観
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