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備忘録 吉村順三展から

日本建築の価値観 純粋・誠実・無私・(愛情)芸術性ー皇居「新宮殿」設計に向かう姿勢から

◯日本の建築のよさ
 日本的ということは抽象的には伝統に繋がると云えるけど、本当は非常に難しいことです。というのは今の近代建築のあり方というものがすでに日本的ではないからです。
 日本的というのは文化財的なクラシックではいけないので、現代に建てるのだから現代的な建築であり、しかも日本のシンボルともなるべきもの、これからの日本の歴史的方向を見透かしたものであること。そして潑らつとした新しい感じのものでなくてはならないと思います。やたら重々しく造ることが流行っているようです。柱などはコンクリート打ちっぱなしにして昔の原始的な強さを通そうとしているが、日本的ということで、非常に危険なことは、すぐに桂とか二条とかが出ることですが、あれは古いものです。今の日本的ということは、私の意見は、第一に創意の不足だと思います。どこかにお手本がある。
 今の近代建築は本当に問題を解決していない。本当に近代建築で国際的な考え方から本当にいいものはありません。すぐに重く造ることばっかりやっています。日本の建築を、歴史的な期さに帰そうというより、ロンシャンあたりの影響でそうしているように思われる。日本の建築のよさは、私はむしろ軽い、気楽な、上品な建築の方がいいように思います。
新しい日本の建築というものは、古いものに対決して造ることです。すべての日本建築、日光も伊勢も神社や寺の建築も含めて、そのいいところはどういうところかということを知り、それと同じくらいの感度をもつようにすることなのです。

◯日本の建築の価値
 設備を最高のものにすれば、デザインがしやすくなり、そういうところから日本的な味を出すことが出来るようになります。もう少し要素に分けて考えると、世界の名建築の中に日本の建築を検出して来て、世界的に価値のあるものは。私は大体四つに分けていますが、①純粋、②誠実、③無私、④(愛情)芸術性といったことだと思います。
純粋ということは、例えば構造なら必要なだけの構造にする。材料の正直な使い方、特に日本の建築は、外側と内側とが一体という精神で統一されている日本の建築の柱は柱としての使命を果たしたもの、外国の宮殿はどれでも柱ではなく一種の飾りになっていますが、日本は、柱には柱として屋根という荷物を支える役目を持っています。ファンクショナルで、建築的に純粋です。装飾の見せかけのものではありません。
二番目の誠実ということは、「目的を解決する」ということです。宮殿は、そこで行なわれる国家の行事の場として造るのだ。ということです。この目的が果たされるようなものではなくてはダメで、またあまりに威圧的であることもいけません。
三番目の無私ということは、素直であるということ、日本の風土に自然に溶け合うもの、といったこと。部屋の考え方は、それを使う時の再考の効果を出すようにする。装飾も季節季節により気分を誇張できるようなものを考える。
形態が複雑で、重々しいものが価値があるというのは間違えで、簡単なもので誠実さのあるものがいい、ヨーロッパ的な大きさでする見せ方ではなく、日本には日本なりの建築の仕方があります。

◯日本建築の色彩
 色彩について、日本の近代建築のウィークポイントは、色彩にあるといえます。色のいい建築は1つも見付かりません。宮殿は、色がキャラクターを決定する要素になっています。日本と西洋の色に対する感覚のちがいは、西洋のものは絵具から発達して合成されたもので、日本では素材的な色ではないかという反省があります。
 日本古来の建築は色彩が乏しく、明治時代になって大分西洋のまねをして色を取り入れてきたが、近大は素材的色彩になってきました。この方が日本建築にピッタリしているようです。

◯日本の建築のよさ
 日本建築のよさは、与えられた問題を最も正直に、こだわりなくつくり、見せかけをしないということです。ここから出発しないで、まず形を作りたいと決めてやることは非常に危険です。形より内容からやって行く必要があります。

                        宮内庁宮内公文書館所蔵
              「昭和28年ー44年 皇后造営専門家会合議事録」より抜粋

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by unocolumn | 2014-05-08 22:13 | 本・言葉
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